ソーシャルレンディングは借り手と投資家を繋ぐサービスであり、さまざまな企業や個人が資金調達のために利用しています。

投資する側にも一定の利益が返ってくる仕組みであるため、お金を一旦預けて増やす投資としても注目を集めています。

この記事では、ソーシャルレンディングを投資として利用する際の仕組みや業者の選び方についてまとめました。

この記事でわかること
  • ソーシャルレンディングの基本
  • 投資として利用する際の利点と欠点
  • 利用開始から利益を得るまでの流れ
  • 確定申告の必要性の有無
  • 業者を選ぶ際に比較したいポイント

投資する手段としてのソーシャルレンディングに興味がある人は、参考にしてください。

ソーシャルレンディングはインターネット上でお金の貸し借りを行う

ソーシャルレンディングは、お金を借りたい個人や企業がインターネット上で仲介業者を介して、投資家から融資を受けるサービスです。

お金を借りる側はボロワー、貸す側はレンダ―と呼ばれており、ボロワー側には以下の利点があります。

ボロワー側の利点
  • 実績の少ない個人や企業でも仲介業者のブランドを担保に資金を調達できる
  • インターネット上の募集により複数の投資家を対象にするため、目標資金を調達できるまでが早い

一方、レンダ―にあたる投資家はお金を融資すると、一定期間後に元本と併せて利息の分配金を業者から受け取れます。

高額の融資や長期間の融資を行うと分配金も高額にできるため、投資の選択肢の1つとして検討できるでしょう。

ソーシャルレンディングはほかの投資よりも利回りが高い利点がある

ソーシャルレンディングはほかの投資よりも利回りが高い利点がある

ソーシャルレンディングで投資する主な利点は、以下のとおりです。

ソーシャルレンディングで投資する主な利点
  • ほかの投資と比較して利回りが高い
  • 投資後の運用は業者側に任せられる
  • 業者によっては少額から始められる

利回りは投資に対する利益の高さであり、ソーシャルファンディングは利回りが高い傾向があります。

投資の初心者や本業の忙しさから時間がない人にとっては、投資後の資金運用を業者に任せられる点は大きな利点です。

1万円から投資を始められる業者が多く、少額で試せる点も初心者にとってメリットになり得ます。

一方で、ソーシャルレンディングの投資で懸念される欠点は、以下のとおりです。

ソーシャルレンディングの投資で懸念される欠点
  • 借り手の経営破綻等で元本割れするリスクがある
  • 基本的に運用中は途中で現金化できない
  • 業者によって情報の透明性やサービスの安全性が異なる

投資全般で発生リスクがある元本割れですが、業者を仲介するソーシャルレンディングでも完全には防げません

投資信託などでは運用途中でも現金化が可能ですが、ソーシャルレンディングでは運用期間中は出資金の全額を投資先に預けた状態です。

投資先の事業が一定の結果を残すまでは、分配金の出金や返金などの処理が行えない点は欠点になり得ます。

投資における安全性は業者によって異なるため、利用する業者選びは十分検討する必要があります。

ソーシャルレンディング業者が仲介コストを抑えて分配金を高くしている

ソーシャルレンディング業者が仲介コストを抑えて分配金を高くしている

ソーシャルレンディング以外の投資方法の平均的な利回りは、以下のとおりです。

  • 短期金利:0.2%
  • 国内債券:0.5%
  • 外国債券:2.2%
  • 国内株式:4.8%
  • 外国株式:5.4%

上記の割合は算出方法によって変動する場合がありますが、投資全体の平均利回りとしては3〜5%が目安とされています。

ソーシャルレンディングの利回りも投資先によって変動しますが、基本は4.0%以上で10%前後の利回りも珍しくありません。

利回りが高くなる理由は、業者が仲介にかかるコストをなるべく抑えて分配金を配っている点です。

ただし、すべての業者が分配金を高くするとは限らないため、業者ごとの利回り実績をよく確認しましょう。

元本割れリスクを対策するためには業者選びの段階から意識する

ソーシャルレンディングにおける投資先は業者が厳選して選んでいるため、ある程度は事業を完遂させられる投資先が揃っています。

しかし、業者が厳選しても経営破綻等による元本割れは、必ず防げるわけではありません

元本割れのリスクを対策するためには、業者選びや投資先について、以下の内容を実践してみましょう。

  • これまでの実績で元本割れが発生していない業者や元本償還率100%業者を選ぶ
  • 投資先の事業目標に目を通して現実的に実現可能なものか判断する
  • 募集金額の達成まで近い投資先を選ぶ

ほかの投資家から既に多数の投資が行われている場合、対象の事業は期待値が高い投資先であると判断できます。

特に初心者は業者の実績とほかの投資家の動きに注目すると、元本割れのリスクを減らせます。

ソーシャルレンディングの開始から利益を得るまでの流れ

ソーシャルレンディングの開始から利益を得るまでの流れ

ソーシャルレンディングを始める際の大まかな流れは、以下のとおりです。

ソーシャルレンディングを始める際の大まかな流れ
  1. 任意のソーシャルレンディング業者を選び、指定された銀行で口座開設を申請する
  2. 個人情報や本人確認書類を提出して、審査が行われる
  3. 審査に通ると口座開設され、サービスを利用開始できる
  4. 任意の出資先を選んで、先着または抽選で出資金を送金する
  5. 業者が集めた資金を借り手に融資する
  6. 借り手が希望する目標金額を達成した場合、募集が締め切られる
  7. 一定期間経過後、業者が借り手から利息と元本を回収する
  8. 業者から投資家に出資金の返還と分配金を送金する

借り手だけでなく、投資家についてもサービスの利用にあたって審査が行われます。

投資の受付は多くの業者で先着と抽選の2種類を用意している

審査に通った後に投資する際、投資先は先着抽選のどちらかで投資を受け付けています。

  • 先着方式:申し込み後、入金した人から受け付ける
  • 抽選方式:申し込み後、業者ごとの基準で抽選を行い、選ばれた人のみが入金する

先着方式の場合、期待値の高い投資先はすぐに目標金額に達する可能性があるため、投資したい場合は早めに入金しましょう。

抽選方式は基本的に1つの投資先に対して1回限り参加できて、申込期間中であれば投資額の変更やキャンセルを自由に行えます。

ただし、抽選で選ばれた後は、基本的に金額変更やキャンセルができません。

借り手側の目標金額に達成しない場合は投資不成立で返金される

ソーシャルレンディングは、目標金額を達成した時点で融資の募集が締め切られる仕組みです。

一方で、設定された期間内に目標金額を達成できなかった場合、投資不成立出資金は投資家に返金されます。

目標金額に足りない状態で事業を行っても失敗する可能性が高いため、少しでも足りなければ融資自体が行われません。

投資家にとっては、投資先の事業の強行による失敗リスクを減らせる点で便利な仕組みです。

返金された資金は、業者の口座内にあれば別の投資先に利用できるため、投資不成立が発生したときは次の投資先を探しましょう。

ソーシャルレンディングは一定額以上の利益で税金を支払う義務が生じる

ソーシャルレンディングは一定額以上の利益で税金を支払う義務が生じる

ソーシャルレンディングで利益を得た場合、利益分は雑所得に分類されます。

雑所得を得た人は、以下の項目のいずれかに当てはまる場合、確定申告を行う必要があります。

  • 給与所得が2,000万円を超える
  • 給与所得がある状態で、給与所得以外の雑所得等の合計が20万円を超える
  • 給与所得がない状態で、公的年金等の雑所得から所得控除を差し引いたときに残額がある

ソーシャルレンディングによる利益が20万円未満でほかの項目でも課税の対象外であれば、確定申告は不要です。

ソーシャルレンディングを始めとした投資で損益が出た場合も、原則として確定申告は必要ありません

しかし、損益が出た際に確定申告を行っておくと、譲渡損失により損益通算や繰越控除などで税金を節税できる場合があります。

雑所得で生じる税金の計算方法は、以下のとおりです。

雑所得で生じる税金の計算方法
  1. 雑所得を含めた総所得額から所得控除額を差し引いて課税対象の所得金額を出す
  2. 課税対象の所得金額に税率をかける
  3. 税額控除がある場合はその額を差し引く

支払うべき税金は確定申告を行う際のツールで自動計算されますが、事前に把握したい場合は上記の計算を活用しましょう。

ソーシャルレンディング業者を比較する際の重要なポイント

ソーシャルレンディングは複数の業者が行っており、業者によって取り扱う投資先やサービス面に違いがあります。

業者選びで比較したい主なポイントは、以下のとおりです。

  • 運営会社:会社の実態や資本金から安全性を判断する
  • 利用条件:70歳以上は業者によって利用できない場合がある
  • 利回り:投資した際に得られる利益の基準を判断できる
  • これまでの実績:元本割れリスクの低い業者を選べる
  • 最低投資額:少額から投資したい場合は注目する
  • 投資先:投資の知識がある人は、選択肢があったほうが良い場合もある
  • 独自サービス:初回登録時や手数料などでお得に利用できるか

ソーシャルレンディングは基本的に成人済みの人が利用対象ですが、高齢すぎると対象外になる場合があります。

金融業者として正式に登録されていて、資本金をある程度確保できている運営会社であれば、業者の信頼性は高まります。

そのほかの項目は、投資する際の資金や自分の知識に合わせて適する業者を選びましょう

次の項目から、ソーシャルレンディング業者と主要なサービスを紹介します。

Fundsは基本手数料0円で投資先によっては特別優待がある

Fundsは基本手数料0円で投資先によっては特別優待がある

Fundsは、ファンズ株式会社が運営するソーシャルレンディングサービスです。

利用条件成年、75歳未満
日本に居住している
反社会的勢力等に該当しない
利回り実績平均予定利回り2.31%
最低投資額原則1円
ただし、1,000円未満の投資の場合は分配金が発生しない可能性がある
投資先国内の上場企業が中心で複数の業界
手数料口座開設、投資等で基本0円
投資家が利用する金融機関からデポジット口座に送金する際は、振込手数料の負担が必要
元本保証なし
資本金850,000,000円
登録第二種金融商品取引業 関東財務局長(金商)第3103号
公式リンクhttps://funds.jp/

※2025年9月時点

サービスの特徴は、以下のとおりです。

  • 2019年のサービス開始から元本割れ0件
  • 投資した際、特別優待が付与される場合がある
  • 初回キャンペーンで現金配布される場合あり

最低投資額が1円からとほかの業者よりも低い設定であり、いきなり万単位の運用が厳しい初心者も始められる環境が整っています。

投資先によっては、ホテルの無料宿泊や有名店のスイーツギフト等の優待を用意しているため、お得に投資できるサービスです。

COMMOSUSは月1回まで出金時の振込手数料が無料である

COMMOSUSは月1回まで出金時の振込手数料が無料である

COMMOSUSは、株式会社コモサスが運営するソーシャルレンディングサービスです。

利用条件成人、及び75歳未満
現在、日本国内に在住している
暴力団等、反社会的勢力に該当しない
利回り実績予定利回り4.2%〜11.0%
最低投資額1万円
投資先国内の複数の業界
手数料投資家登録:無料
入金時の振込手数料:投資家負担
出金時の振込手数料:月1回まで無料、2回目以降は振込ごとに770円
元本保証なし
資本金100,000,000円
登録第二種金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第2973号
公式リンクhttps://commosus.jp/

※2025年9月時点

サービスの特徴は、以下のとおりです。

  • 外部の弁護士等の専門家を交えて、金融や不動産のプロが厳選した投資先を提供
  • 日証金信託銀行株式会社に信託して、預かった資金を保全する
  • 元本償還率100%
  • 一部投資先に一定額を投資した場合、Amazonギフトがもらえる

投資先の選定や資金管理など、ソーシャルレンディングとしての基盤をしっかり固めて運営しています。

出金時の振込手数料が月1回まで無料であるため、1ヶ月単位でまとめて出金すれば手数料を抑えられます。

Crowd Bankは楽天と連携しながらゴールド投資が行える

Crowd Bankは楽天と連携しながらゴールド投資が行える

Crowd Bankは、日本クラウド証券株式会社が運営するソーシャルレンディングサービスです。

利用条件80歳未満で日本国内居住者
個人用のメールアドレスを持つ
未成年は親権者のいずれか一方、または未成年後見人が未成年の財産を本人に変わって管理する場合に利用可能
利回り実績実質平均利回り6.01%
最低投資額1万円
1万円以上であれば1,000円単位で設定可能
投資先国内、海外の複数の業界
手数料口座開設、管理手数料:無料
入金時の振込手数料:投資家負担
出金手数料:日本円は無料、外貨は1,500円、または6,500円
元本保証なし
資本金100,000,000円
登録第一種・第二種金融商品取引業:関東財務局長(金商)第115号
公式リンクhttps://crowdbank.jp/

※2025年9月時点

サービスの特徴は、以下のとおりです。

  • 新規口座開設や初回の投資完了、毎日のログインで楽天ポイントを付与
  • ゴールド投資が行える
  • 証券会社のコンプライアンス体制により高い財務基準をクリアしながら運営

楽天IDと連携できる業者であり、新規口座開設と初回投資で合計2,500ポイント、1日1回のマイページアクセスで1ポイントが付与されます。

サイト内で純金の購入や売却するゴールド投資にも対応しているため、純金の資産運用に興味がある人は候補になるでしょう。

Bankersはあとから入金対応で運用期間が短期の投資先がある

Bankersはあとから入金対応で運用期間が短期の投資先がある

Bankersは、株式会社バンカーズが運営するソーシャルレンディングサービスです。

利用条件18歳以上
日本国内に在住している
マイナンバーを所持している
反社会的勢力等に該当しない
「犯罪による収益の移転防止に関する法律」の対象ケースに該当しない
「外国の政府等において重要な地位を占める者等」(=外国PEPs)に該当しない
「適合性の原則」により当社が定める条件をクリアする
利回り実績予定利回り5.00%~12.14%
最低投資額1万円
投資先国内、海外の不動産や金融業者が中心
手数料口座開設、口座維持:無料
入金時の振込手数料:投資家負担出金時の振込手数料:無料
元本保証なし
資本金10,000,000円
登録第二種金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第3216号
公式リンクhttps://www.bankers.co.jp/

※2025年9月時点

サービスの特徴は、以下のとおりです。

  • 2024年11月までの期間における元本毀損なし
  • 投資申し込み完了後、2営業日後の15時までのあとから入金が可能
  • 運用期間は最短1ヶ月の投資先あり
  • ファンド営業者によるモニタリングと独自のリスク分析指標に則ったリスク開示

あとから入金に対応しており、気になった投資先がある場合は、残高が足りなくても先んじて申し込みができます。

短期運用の投資先もあるため、なるべく早く利益を得たいときにも対応できるサービスです。

オルタナバンクは初心者でも参加できる海外の投資先が多く用意されている

オルタナバンクは初心者でも参加できる海外の投資先が多く用意されている

オルタナバンクは、SAMURAI証券株式会社が運営するソーシャルレンディングサービスです。

利用条件日本国内に居住している
満18歳以上75歳未満である
法人の場合、日本国内に本店又は支店の登記がなされている
SAMURAI証券株式会社が推奨するインターネット利用環境が整っている
SAMURAI証券株式会社の「電子交付サービス」を利用できる
緊急時に連絡がとれる電話番号、メールアドレスを登録する顧客の情報を正確に登する
反社会的勢力に属するものでない旨を確約できる
その他SAMURAI証券株式会社が定める基準を満たしている
利回り実績予定利回り4%~12%
最低投資額1万円
投資先国内外の複数の業界
手数料口座開設、管理:無料
取引手数料:原則無料、匿名組合契約の投資家の場合は負担が必要な場合あり
元本保証なし
資本金99,000,000円
登録金融商品取引業者:関東財務局長(金商)第36号(第一種金融商品取引業、第二種金融商品取引業)
公式リンクhttps://www.alternabank.jp/

※2025年9月時点

サービスの特徴は、以下のとおりです。

  • 一般の投資家ではアクセスできない国内外の資産を投資対象にしている
  • 元本償還実績100%
  • 初回キャンペーンで現金がもらえる場合あり

ほかの業者と比較して、海外の投資先が充実しており、初心者向けと題した投資先も複数用意しています。

時期によってはキャンペーンでお得に利用できるため、利用する際は初心者向けのキャンペーン内容や投資先を確認しましょう。

ソーシャルレンディングは資産運用を考える人にとって新しい選択肢になる

ソーシャルレンディングについてまとめると、以下のとおりです。

  • 投資家が業者を仲介して借り手に融資して、一定期間後に元本と分配金がもらえる
  • ほかの投資よりも利回りが高く、投資後の運用を業者に任せられる点が利点
  • 元本割れのリスク運用中の途中出金が不可である点が欠点
  • 利用時には借り手と投資家の双方が審査を受ける必要がある
  • 雑所得に分類され、20万円を超える場合は確定申告が必須
  • 業者選びでは金融業者としての正式な登録などから運営会社の安全性を確認する
  • 年齢要件や最低投資額、独自サービスを比較しながら選ぶ

一度投資先を選んで出資した後は、業者側に運用を任せられるため、初心者でも手軽に投資を行えます

業者ごとの投資する際の仕様やサービス面を比較して、自分に合うソーシャルレンディング業者を選んでください。